2022/01/27
不動産売却における譲渡所得税の特例と適用条件とは?
近年、日本では少子高齢化が加速し、全国的に空き家が増えています。
その大半は親から相続した人が家を売却する手間を避けたり、取り壊し費用の負担を避けるため、そのまま放置しているケースでほとんどです。
そういった空き家による景観や治安の悪化、倒壊の恐れなどが問題となっています。しかし、実際に相続した不動産売却は「譲渡所得の特別控除」が適用されるのをご存知ですか?
そこで今回は、相続する前に知っておきたい、譲渡所得税がかからない特例と適用条件について詳しくみていきましょう。
不動産売却すると譲渡所得税がかかる
通常、不動産を売却すると、売却によって発生した利益に対して、「譲渡所得税」と呼ばれる税金が発生します。その他にも印紙税・登録免許税・消費税等がかかります。
譲渡所得税は復興特別所得税を含んだ所得税と住民税を合わせた額になります。復興特別所得税とは東日本大震災の復興のために、2037年まで所得税の2.1%を納めます。
ここからは、「譲渡所得税」の計算式を見ていきましょう。
不動産売却の譲渡所得税は、不動産売却の利益を所得によって決められた税率で計算され、売却した翌年の確定申告によって納税額を確定します。
▽譲渡所得税の計算式
譲渡所得=不動産の売却価格 -(取得費+譲渡費用)
・取得費…売却不動産を取得したときにかかった費用
・売却費用…不動産を売却したときにかかった費用
例)売却価格 3,000万円の場合
不動産を取得するときにかかった費用 1,000万円
売却時にかかった費用 100万円
この場合、課税譲渡所得は1,900万円となります。
不動産売却の譲渡所得は特例として特別控除が受けられる
不動産売却の譲渡所得は特例として、一定の条件を満たしていれば、特別控除が800万円から5,000万円適用されますので、譲渡所得税の金額が少なくなります。
譲渡所得から控除を受けられる特例は全部で以下の6種類あります。
1)マイホームを売却した時の3,000万円の特別控除
2)公共事業のために売却した時の5,000万円の特別控除
3)特定土地区画整理事業などのために売却した時の2,000万円の特別控除
4)特定住宅地造成事業などのために売却した時の1,500万円の特別控除
5)平成21年、22年に取得した国内の土地を譲渡した時の1,000万円の特別控除
6)農地の保有化などのために売却した時の800万円の特別控除
参考サイト:No.3223 譲渡所得の特別控除の種類|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3223.htm
不動産の譲渡所得に関する税率は所有期間によって異なる点に注意が必要です。
▽短期譲渡所得
不動産を売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下
短期譲渡所得の税率
所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%=合計39.63%
税率39.63%(所得税30.63%、住民税9%)
▽長期譲渡所得
不動産を売却した年の1月1日時点で所有期間が5年超
長期譲渡所得の税率
所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%=合計20.315%
税率20.315%(所得税15.315%、住民税5%)
特別控除額は短期譲渡所得と長期譲渡所得の合計で、最高50万円までと定められています。
譲渡益が50万円以下の場合は、所得税の申告は不要です。
ここからは、代表的な「マイホームを売却した時の3,000万円の特別控除」と「特定の居住用財産の買換え特例」について見ていきましょう。
居住用の家屋、敷地を売却する場合
相続・遺贈によって得た居住用のマイホーム、敷地を売却する場合は、一定の要件に当てはまれば、不動産を売却した際に出た利益に対して最大3,000万円までは控除されます。
「マイホームを売却した時の3,000万円の特別控除」の特例は最も適用が多く、所有期間の長さに関わらず、譲渡所得から最大3,000万円まで控除されるのがメリットです。
特別控除を受けることができる家屋の条件は以下のすべてを満たす必要があります。
・昭和56年3月31日以前に建築された
・区分所有建物登記がされている建物でない
・相続前、被相続人以外に居住をしていた人がいない
居住用敷地とは、居住用家屋を建てるために使われていた土地のことを指しており、投資用の敷地・家屋は適用されません。
参考サイト:No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm
特定の居住用財産の買換え特例
特定の居住用財産の買換え特例とは、居住用の不動産を購入したときに受けられる特例です。
居住用財産の条件に当てはまれば、所有期間に制限はありません。
特例の適用条件
・住居は建物50平米以上、土地500平米以下
・売却する不動産の所有期間が売却した年の1月1日時点で10年以上であること
・居住期間が通算10年以上であること
建物の取得費の計算式
建物取得費 = 建物購入価額 - 減価償却費相当額
減価償却費の計算式
減価償却費 = 建物購入価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
※償却率は建物の構造によって数値が定められています。
例)譲渡価格 7,000万円
取得費 -1,000万円
売却費用 -100万円
特別控除 -3,000万円
譲渡所得税 約589万円
まとめ
今回は、土地や建物などの資産を売却した場合は、譲渡所得から控除を受けられる特例が6種類用意されていることを見ていきました。
不動産の売却益が出た場合には、譲渡所得の特別控除の特例を受けるために、売却した年度末に確定申告が必要になりますので、忘れずに済ませて起きましょう。
売買物件
-
- 価格
- 1,699万円
- 間取り
- 4LDK
- 建物面積(m2)
- 104.33m²
- 敷地/土地面積
- 151.24m²
- 開口向き
- 南東
- 駐車場
- あり
-
- 価格
- 2,100万円
- 地目
- 宅地
- 建物面積(m2)
- 115.10m²
- 敷地/土地面積
- 283.12m²
- 建ぺい率
- 60%
- 容積率
- 200%
-
- 価格
- 3,280万円
- 地目
- 宅地
- 建物面積(m2)
- 165.63m²
- 敷地/土地面積
- 402.56m²
- 建ぺい率
- %
- 容積率
- %
-
- 価格
- 1,980万円
- 間取り
- 2LDK
- 専有面積
- 82.60m²
- 管理費
- 5,300円
- 修繕積立金
- 14,410円
- 階数
- 6階
-
- 価格
- 3,650万円
- 間取り
- 2LDK
- 専有面積
- 69.44m²
- 管理費
- 10,000円
- 修繕積立金
- 4,600円
- 階数
- 3階
-
- 価格
- 9,900万円
- 土地面積(m2)
- 211.92m²
- 建物面積(延床)
- 333.75m²
- 満室想定家賃
- 664.8万円
- 表面利回り
- 6.715%
- 用途地域
- 近隣商業・第一種住居地域