2022/10/07
三為契約(第三者のためにする契約)とは?
「三為契約(第三者のためにする契約)」は、第三者のためにする売買契約が締結されている場合に中間省略登記を合法的に行なう手法として利用されています。
では早速、今回のテーマ「三為契約(第三者のためにする契約)」について詳しくみていきましょう。
三為契約(第三者のためにする契約)とはどんな意味?
不動産売買をする流れにおいて「三為契約(第三者のためにする契約)」や略して「三為(さんため)」、「(新)中間省略登記」という言葉が出てくることがあります。従来は「中間省略登記」が禁じられていたため、第三者のためにする売買契約が締結されている際にに考え出された手法の一つになります。
中間省略登記とは?
そもそも中間省略登記とは何でしょうか。物件をA→B→Cと順次売買する際に、そのままの順番で登記を移転させると登録免許税が2回分かかり、Bには不動産取得税が発生します。
登録免許税は不動産評価額の2%(土地の場合は0.15%)がかかるため、例えば3,000万円の不動産の場合は60万円課税されます。不動産取得税は不動産評価額の3%かかりますので、3,000万円の不動産の場合は90万円かかります。
Bは転売目的で不動産を購入した場合、登録免許税と不動産取得税の合計150万円分もの税金が発生してしまうため、当然ながら節約したいと考えるでしょう。Bとしては不動産を所有する目的ではなく、すぐにCに売ってしまうわけなので、名義を入れなくてもいいでしょ、というスタンスです。
そこで、AB間の売買とBC間の売買を同時に行うことで税負担が抑えられます。そこで、AからCへと登記を直接移転する「中間省略登記」を行います。
第三者のためにする契約は「中間省略登記」を合法的に行なうための手法の一つとして利用されています。
▽A→B→Cという譲渡をA→Cと登記する
・第三者のためにする売買契約
A→B
所有権は直接Cに移転する特約付き
・他人物売買契約
B→C
Aの所有権をCに移転
「中間省略登記」は上記2つの契約を締結することです。
三為契約(第三者のためにする契約)は合法なの?
宅地建物取引業者は、原則として他人物売買契約の締結を禁止していますが、例外として第三者のためにする売買契約が締結されている場合は認めています。
2021年に不動産登記法が改正される前は、売買契約がA→B、B→Cの2つでも中間者であるBを省略して、登記申請書類をA→Cへ登記を直接移転することができました。
改正後はA→Cと直接登記を移転させることができなくなり、売買契約がA→B、B→Cの2つある場合には、登記が2回必要となったのです。
そこで考えられたのが「三為契約(第三者のためにする契約)」、「三為(さんため)」、「(新)中間省略登記」と呼ばれる手法になります。
所有権を売主(A)から買主(C)に直接移転させる手法は以下の2通りです。
(1)第三者のための契約を用いる手法
①第2契約を他人物売買契約とする手法
②第2契約を無名契約(指定を受ける権利の設定契約)
(2)契約上の地位の譲渡を用いる手法
契約上はBは一度も所有権を取得しませんので、不動産登記法の改正後もA→Cに登記を合法的に直接移転することが可能です。
三為契約(第三者のためにする契約)は合法でもトラブルは多い
2004年に不動産登記法が改正される前までは中間省略登記は頻繁に行われていましたが、改正後は登記原因証明情報という書類が必要になったため、中間省略登記ができなくなりました。
そこで、新法施行後は新中間省略登記、つまり「第三者のためにする契約」を利用した所有権移転登記が考え出されたのです。
契約を複数組み合わせることでA→Cに登記を直接移転することが事実上、合法的に可能となっています。第三のためにする契約を略して「三為契約」と呼ばれています。
実際に、2007年の宅建業法施行規則の改正(宅建業法施行規則15条の6第4号の新設)は宅建業者が三為契約をしやすいように行われました。
法律の規定上、全く問題がなく三為契約(第三者のためにする契約)は合法な手段として国土交通省や法務省から通達がありましたので、安心して活用できます。
第三者のためにする契約は民法に規定があります。
民法第537条
契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する。
前項の契約は、その成立の時に第三者が現に存在しない場合又は第三者が特定していない場合であっても、そのためにその効力を妨げられない。
ただし、契約が複雑になる上に買主が不利な状況に置かれて、トラブルに発展する可能性もありますので、専門家に相談してから慎重に判断されることをおすすめします。
三為契約(第三者のためにする契約)による不動産売買のメリット
第三者のためにする契約によって、AからCに直接所有権が移転されますので、A→B→Cと順次に所有権が移転する一般的な不動産売買と比べるとBは登記費用の節約になります。そして、Bは所有権を取得しないために不動産取得税の課税も受けませんので、Bのコストが削減されるのがメリットです。
AB間の契約において、Aはより高い価格で売却できて、BはAに通常よりも高い価格を提示できるでしょう。BC間の契約においては、Cはより安い価格で購入できて、BはCに安い価格を提示できるメリットがあります。
三為契約(第三者のためにする契約)による不動産売買のデメリット
Aが税金の滞納等をした場合に、不動産に差押の登記が入ってしまう可能性があることやAが別の人に不動産を売却して、所有権移転登記がなされてしまうリスクがあります。
まとめ
三為契約(第三者のためにする契約)は合法的なやり方ではありますが、初めての不動産売買の際にはトラブルに発展しかねないため、安易に行わないようにご注意ください。
売買物件
-
- 価格
- 4,088万円
- 間取り
- 4LDK
- 建物面積(m2)
- 94.38m²
- 敷地/土地面積
- 72.22m²
- 開口向き
- 東
- 駐車場
- あり
-
- 価格
- 3,580万円
- 間取り
- 3LDK
- 建物面積(m2)
- 92.74m²
- 敷地/土地面積
- 66.36m²
- 開口向き
- 南西
- 駐車場
- あり
-
- 価格
- 3,398万円
- 間取り
- 3LDK
- 専有面積
- 67.67m²
- 管理費
- 8,000円
- 修繕積立金
- 14,900円
- 階数
- 2階
-
- 価格
- 720万円
- 間取り
- 2LDKS
- 専有面積
- 66.00m²
- 管理費
- 5,062円
- 修繕積立金
- 9,405円
- 階数
- 1階
-
- 価格
- 3,780万円
- 間取り
- 3LDK
- 建物面積(m2)
- 99.15m²
- 敷地/土地面積
- 103.48m²
- 開口向き
- 北
- 駐車場
- あり
-
- 価格
- 3,850万円
- 間取り
- 2LDKS
- 建物面積(m2)
- 124.41m²
- 敷地/土地面積
- 128.22m²
- 開口向き
- 南東
- 駐車場
- あり